赤裸々日記

日記
休み。ダラダラしてました。
あと日記は2月分も埋めました。





時代考証って難しいよなぁと思う理由の一つに「美作碧(みまさか みどり)非存在説」というものがあります(まあ私が勝手にそう呼んでるんですけども)。美作碧とは『金田一少年の事件簿』FILE5 秘宝島殺人事件に登場する人物です。

ネタバレを避けるために詳細には語りませんが、犯人の動機にも直結する、いわばこの事件のキーパーソンです。
で、「非存在説」とはどういう事かというとその昔はやった『~の秘密』シリーズという考察・ツッコミ本の中に『金田一少年の推理ミス』という本がありました。その本によると(確か読者からの情報だったと思うのですが)

 秘宝島殺人事件の初出が1993年で美作碧は17歳だが、「碧」が人名用漢字になったのは1981年から。
 美作碧に「碧」と名前を付けるのは本来不可能。

とのこと。
そこから『金田一少年の推理ミス』内でどういうことなのかといろいろこねくり回したあげく「非存在説」まで話が飛躍してしまうのです。前述のとおり美作碧は犯人の動機に直結する人物。本当は美作碧が存在しなかったとなれば、犯人は悲しき殺人者などではなくなってしまう・・・

もちろん『金田一少年の推理ミス』の著者も読者も、これはただの作者のリサーチ不足による「ミス」だとわかっています。しかし『金田一少年の事件簿』は、「現実世界で可能な範囲内のトリック」で殺人を行う推理漫画。ハサミの税込み価格等、時代考証に則した推理もあります。どれだけトリックに気を使っても「ありえない名前」ひとつで、全部台無しになってしまうのです。例えばこれが異世界行っちゃう系のファンタジーとかだったら、読者は全く気にしなかったでしょう。その物語の舞台は「現実世界によく似た平行世界」のことなんですから。
(えっ、織作碧はいいのかって?京極堂はファンタジーだから・・・)

ちなみにおなじミドリで「翠」という字もありますが、こちらは1976年から人名用漢字になりました。
絶賛上映中『この世界の片隅に』で有名なこうの先生の出世作、『夕凪の街 桜の国』で皆実さんの妹が翠(みどり)になっていますが、実はこれもありえない名前になってしまっています・・・『この世界の片隅に』原作を読んだ方はこうの先生が本当に真剣に時代考証に取り組んだことが分かると思います。でも人名漢字なんてものに落とし穴があるとは思っていらっしゃらなかったのでしょう。




かくのごとく、どんなに気を付けても時代考証漏れというものはあるものです。個人的には実際に生きていない時代のことを書くのだからしかたない、とある程度諦めてはいるのですが(開き直りともいう)、それにしても生活の私的なことが全然わからない。庭はあるのかとか、トイレや風呂は?とか、下着は?とか、流行の髪型・アクセは?とか。
名前についても上記のような人名用漢字についてとか。中国史だと姓氏の違いが実はよくわからないし、この間柄では名と字どちらで名乗るべきかとか避諱なんかもありますから、もう本当にめんどくさい。

たかだか同人でしょ?と思わずもないのですが、美作碧並みに話の根底を覆してしまう落とし穴があるのも事実。

難しい・・・



余談ですが、かんが消費税がない時代があったことを知ったのも金田一少年でですし、高校生が彼女(未満幼馴染以上)にポケベルを持たされる時代があったと遠い目になるのも金田一少年です。
時の流れは速いなぁ。消費税がない時代を知ってた金田一少年が、今やスマホ持ってるんだぜ・・・(笑)