Wエスメラルダたん!
実はこの日、劇団四季の『ノートルダムの鐘』を見に行ってました。
15年だ!ディズニー映画版から15年待ったぞ畜生ッ!
というわけで以下、感想です。相変わらずしつこく語ってます。
ミュージカル版のみならず、ディズニー映画版のネタバレも多大に含みます。
どちらかを今後見る予定があり、ネタバレを回避したいという方はそっと見なかったことにしてくださいませ。
あと、どちらも見てないしこれから見る予定もないと言う人にはまったく意味が分からない内容だと思います。
おkやで!と言う方はどうぞ。
さて、まずミュージカル版を見た感想を一言で言うと、
どうしたんだ、まるでヴィクトル・ユーゴー原作みたいじゃないか!です。
・・・うん、「お前は何を言っているんだ」な感想ですけど(笑)
どうもディズニー映画版とは内容が少し違うらしいということと、フロローが神職であることから原作よりの内容なのかなーとは思ってたんですが、いやしかし完全にバドエンに持ってくるとは。よくディズニーはアラン・メンケンの曲を使う許可を出しましたね・・・
実は私(日記では何度か言っているのですが)『ノートルダムの鐘』が一番好きなディズニー映画なんです。初めて見たのはリアルちゅうにの頃。もうね、あらゆる点でド肝を抜かれました。
荘厳な音楽、美しいアニメーション、実にストレートな身体障碍者やジプシーへの差別の表現。
そして何より驚いたのは、主人公の恋が成就しないこと。
えっ・・・いやそりゃぁ、エスメラルダが心変わりしたらもっと釈然としなかっただろうけど、これディズニー映画だよね!?カジモドも町の人たちに受け入れられましたと無理やりハッピーエンドにした感あるけど、夢と魔法はどうしたの!?あれっ、そういや魔法一切出てこなかったな・・・歌って踊るガーゴイルはいたけど。
フロローも所謂ヴィランズ(悪役)としては異質な存在でした。
NCも指摘している通り(3:31)、彼のソロ曲『罪の炎』は自分がいかに邪悪であるかを歌うものでもなければ、これから行おうとしている悪事を歌っているわけでもありません。そもそもフロロー自身に自分が悪だという自覚はありませんし、彼のやってることってまるっきり悪ではないんですよね。
後半愛欲に狂ったモブおじ的面をクローズアップされましたが、ジプシー迫害に関してはいわば不法入国者の取り締まり。しかも非キリスト教徒に人権などなかった中世ヨーロッパの事ですから、即刻処刑でないぶん生ぬるいというか優しいと思うのです。
魔法もなければ、(完全な)悪役もいない。主人公はイケメンではなく、恋も実らない(あと、エスメラルダの胸元ちょっとエロい/笑)
『ノートルダムの鐘』はまさしく「人間たちの物語」でした。
(ディズニー映画にそれは求めてないという層には微妙だったでしょうけど・・・/笑)
いかんせんリアルちゅうにだったわたくし、一発で虜になってしまいました。誕生日にはこの映画のビデオ(時代w)を買ってもらい、サントラをヘビロテし、時に友人に布教で押し付け(笑)
でも原作小説は読んでませんでした。だってあらすじ調べたらひたすらフィーバスがクソで、あとの3人みんな死ぬって言うんだもん・・・(笑)別にバドエンは嫌いではないというか、むしろ大好物なのですが、好きなキャラがクソ化してるってのはやっぱり悲しいからね・・・(※そっちが原作)
さて、ミュージカル版ですけども。
いきなりラストの話になってしまうのですが、カジモドがフロローを「邪悪なのはあなただ!」と断じて自らの意思で聖堂の上から突き落とすシーンで思わず( ゚д゚)の顔になりました。
え・・・えっ?どったのカジ・・・なんか私の知ってるカジモドじゃないぞ・・・?
そして死にっぱなしのエスメラルダ。いや待て、起き上がった!ヤッター!生き返・・・らなかったー!天国行っちゃったー!それを見送ってその場に崩れ落ちるカジモド。
そして独白のようにカジモド役の方の口から語られる、数年後エスメラルダとカジモドの白骨死体が見つかったという、「やっぱり神様なんていなかったね」なエピローグ。
なんだこれは・・・私はディズニーの『ノートルダムの鐘』を見に来たんじゃなかったのか・・・あいかわらず心は( ゚д゚)ポカーンのままw
しかし最後の最後、締めの曲『ノートルダムの鐘 リプライズ』を聞いて気付きました。初めからディズニー映画版とミュージカル版の違いは示されていたのだと。
「怪物と人と、どこが違うのか」
これ、ディズニー映画版では「誰が怪物で、誰が人か(※)」になってるんですよね。そしてディズニー映画版では社会的地位を持つフロローが怪物で、姿は醜いけれど優しく強い心を持つカジモドこそが人だという結論に達する。
けれどミュージカル版は違う。怪物と人と、どこが違うのか。どこも違わない。誰だって光の部分と闇の部分を持っている。たぶん、そういうテーマの物語だったのだと。
だからカジモド・フロローをはじめとするミュージカル版の主要人物たちは二面性を持っている。クロパンもヤクザじみた性格でしたがすべては仲間を守るためでしたし、非の打ちどころがなさそうなエスメラルダでさえ「私はルールなんて守らない」と言って、ミカジメ料の支払いを拒否する奔放さを見せる。
怪物と人、言ってしまえば悪と正義ではなく、みんながみんな人だった。
いやはや、ミュージカル版はディズニー映画とは別のベクトルで「人間たちの物語」でありました。
で、これが好きか嫌いかと言えばうん・・・ちょっと・・・ディズニー映画版の印象が強すぎて受け入れるのに時間かかる・・・(笑)
あー!ノートルダムでなければなー!ほんとノートルダムでなければ大好物なんだけどなー!!(笑)
その他雑多な感想。
・割と(人が)上ったり下りたりの多い話なので、舞台でどうするんだろうと思っていましたが、全然違和感なく見れました!大道具の発想力ってすごいなー。フロローが落下するシーンもちゃんと落ちていくように見えました。
・フロローの次くらいにクロパンがディズニー映画版と違うキャラしてましたね。これはいいアウトロー!
・フィーバスさん、正直影が薄かった(笑)キャラがぶれて見えたからかもしれないけれど・・・
・フロローが上ってきたのに蓋バターンされるところわろたw
・「サムデイ」そこに入れてくれたんだ!うれしい!
・ミュージカルオリジナル曲では「酒場の歌」が好き。曲調は全然違うけど、
カルメンの「ジプシーの歌」にちょっと場面のふいんきが似てるんだよねv
・チャント(聖歌)、頑張ってるとは思うんだけど、やっぱりミュージカルとクラシックなコーラスは発声があらゆる点で違うので違和感でした。
ミュージカルは滑舌重視なのかな?歌詞もディズニー映画吹き替え版の歌詞より語数を減らしてきっぱり歌ってましたが、コーラスはわりとハーモニー重視です。
あとBGM、生演奏ではないのは仕方がないのですが、もっと、もっとこう低音を腹に響かせてほしかった!雷鳴のごとく鐘を、ドラムを響かせてほしかった!あーでも歌声を掻き消したらあかんもんな・・・
※英語版の場合で、日本語版では「(カジモドは)怪物か人か」となっています。また英語版は冒頭の歌とラストのリプライズで歌詞が異なります。
冒頭:Who is the monster and who is the man?(誰が怪物で誰が人か)
リプライズ:What makes a monster and what makes a man?(何が(人を)怪物にして、何が人にするのか)
恥ずかしながら歌詞カードを見るまでこの違いに気付かなかったんですが、最後の最後にミゾオチにブチ込んできおったァ・・・と思いましたね・・・(笑)
この「What」の答えは「愛」に他ならず、人間は愛によって怪物にも人にもなりうると。
ああー、たまらん・・・