日記
夜勤前で寝・・・たかったのですが、なんかうまく眠れませんでした。
死亡フラグわっほい!
というわけで今、夜勤中です。
お仕事の作業にいそしむ予定だったのですが、なんか南の方から「需要あるよ!」との魂の叫びが聞こえたような気がするので、臥龍先生と龍の妻がいちゃついてるだけぇ~!の小劇場を投下しますよっと。
***本日の小劇場~龍の妻~
虫の声が聞こえる。
つい先日まで蝉が、短い人生の中で恋を全うしようと、声を限りに鳴いていたと思うのだが、今鳴いているのは鈴虫だ。
さて、忙殺されている間にすっかり秋になってしまったようだ。朝晩はずいぶんと冷え込むようになった。思わずぶるりと震え、袖の上から腕をさすると、紙燭を揺らして近づいてくるものがあった。
「上衣をお持ちいたしましょうか」
凛と通る声。ふだんは少年のようにはきはきと話す人物だが、夜半のためか、今は声を潜めている。
諸葛亮は、彼女の気遣いに感謝しつつも、わずかに詰るように言った。
「――私は先に休むようにとお伝えしたはずですが――?月英」
諸葛亮が言うと、女性――月英は言った。
「ええ、でも月がとても綺麗でしたから――孔明様には悪いのですが、一人で月見を楽しんでおりましたの」
言われて諸葛亮は、窓のから漏れ出でる月光が、非常に明るいことに気付いた。月英が窓を開ける。満月だ。これほど明るいのであれば、火はいらなかったかもしれぬ。
知識人の娘である月英が、この月の美しさに引かれて、ついつい遅くまで月見に興じてしまったとしても不思議はない。
しかし――
「別室で月を見ていたのに、私が身震いしたことに気付いたのですか?」
「――それは――」
諸葛亮は苦笑した。おそらく月英は、隣室に控えて隠密のようにこちらの様子を伺っていたのだ。諸葛亮がなにかを所望したとき、即座に対応できるように。
困った妻だ。従順なようで、肝心なときにちっとも言うことを聞かない。
「赤龍の妻は、夫がどこで何をしていても、すぐに居場所がわかったと言いますでしょう――私も龍の妻です、夫の言動を、突然察することがあるのです」
それは赤龍の子こと、劉邦の妻、呂氏の故事である。うまくかわした――ように見えるが、普段明快な物言いをする月英が、故事を持ち出してまではぐらかそうとすること自体、後ろ暗いことがある証拠だ。
追及しようとすれば、できるのであろうが――
諸葛亮はくすりと笑うと、筆を置いた。
「なるほど、確かに見事な月ですね――このような月夜にいつまでも仕事をしているというのも無粋でしょう」
月英の表情が、少し和らいだものになった。尤も、諸葛亮でなければ気付かぬ程度の変化であったが。
「酒をお持ちいたしましょうか」
「いえ、必要ありません――ところで龍という時は、月を抱いているように見えませんか」
「え?」
意味を判じかねたらしく、月英が首をかしげた。
「先ほどあなたが仰ったでしょう、『龍』の妻と――」
諸葛亮が、すいと両手を広げるようにさしだした。月英はわずかに顔を赤らめた後、諸葛亮の長い腕の中におさまった。やや緊張するように強張った体を、己の胸元に引き寄せると、少しずつ体重を預けてくる。鎧を着ていない月英の体は、確かに女のもので――今更ながらに、そんなことに感動を覚えた。
まっすぐな髪を、そのまま梳いてやる。すこしだけ赤みかかった髪が、月光を吸ってつやつやと光った。戦場にてさんざん日光や黄塵を浴びているはずなのに、あまり痛んでいるような様子はない。彼女なりに気を使って手入れをしているようである。
――いとおしい。
「ほんとうに――美しい月ですね」
溜息とともに言うと、月英は応えた。
「ええ、今宵の――天上の月は、とてもきれいですね」
諸葛亮は苦笑した。天上の――と付け足すことによって、月英は諸葛亮が含めた意味を、あっさりと打ち消してしまった。
ただ、詰めが甘いようにも思う。
――あなたと見なければ、こんなに美しくはないのでしょうね。
腕の中の人に、甘やかにささやく。月英は、もはや言葉では返さなかった。恥じ入るように、諸葛亮の胸元へと顔をうずめてしまった。
――ああしまった、寝台へ向かう機会を、逃したかもしれない。
諸葛亮は内心つぶやきながら、その実少しも困ってはいなかった。
白百合の様に凛と美しく、高貴なひと。
その彼女の、こんな愛らしい姿は、夫である諸葛亮ですら、めったに見ることはできないのだ。
諸葛亮は、月英の背をゆったりとさすりながら、しばしその温もりを楽しんだ。
***
無双の月英さんが自分のことを「龍の妻」って言うのが、すごく好きです。
いや、未プレイなんですけども。
ところで前回のおまけとか言っておきながら、前回の話とぜんぜん絡められませんでしたね。まあ、いちゃつかせるのが目的だからいいんですけど。てへぺろ!