新春企画1
ぶっちゃけた話、アビスしかやってなかったんですが、それしか書かずに日記を埋めるのはズルイと思うので、リハビリもかねて新春企画!小劇場連作にしましょう!
テーマは、
書いてて恥ずかしい話。
・・・多くは語らぬよ。れっつらどん!
***本日の小劇場~獣の目:孔明篇~
狼に、遭遇したことがある。
戦火から逃れて、弟妹とともに山に入ったときである。
そも、狼とは群れをなす生物のはずなのだが、その狼はたった一頭で、悠然とまどろんでいた。
月明かりのもと、薄い色の毛並みは銀色に輝き、しなやかな体躯をゆったりと横たえたその姿は、血生臭い光景になかば膿んだ、私の心を洗うほどに美しかった。
かさり、と、足元の草がなる。
狼は、ゆっくりとこうべをもちあげ、此方を見た。
その、黄金色の瞳に見つめられて――
不覚にも私は、こいつになら喰われても良いかもしれぬ、と思ったのだ。
「――それで?」
趙雲がゆっくりと孔明の背を愛撫しながら言った。
「諸葛孔明はそこで無残に喰われ、今ここにいるのは鬼神である、とか――?」
「いや、なにもない」
孔明がくすぐったそうに笑う。
「そのまま狼は私を見つめたあと、ふいっと目をそらして、がさがさと草むらに消えていった」
狼は、意外なほどにあっさりと行ってしまった。孔明はしばらくそこにほうけたように立ち尽した後、詰めていた息をゆっくりと吐き出し――それから震えがやってきた。
「不思議な狼であった、野鼠や兎を追いまわし、死肉をあさる獣にしては、高貴すぎた、あれは山の神であったのだ、と言われれば、信じてしまいそうなほどに」
「ほう、」
それは、また――と趙雲が言いかけたところで、孔明が凝っと見つめてきた。
「軍師?」
「おまえは、」
孔明が、言った。
「おまえは、あの狼に、似ている」
趙雲は、少しだけ驚いたような顔をしてから、にやりと笑った。
「それは、喰われてもいいと思える、ということですかな?」
「違うよ、」
孔明が即座に否定した。
「――だって、とうに喰われている」
魂ごと――
***
最後の一言が恥ずかしい!(笑)
第二弾、第三弾はまた後日・・・